学費と奨学金

(2014/05/11: 学費に関する記述を加筆・修正)
(2014/05/10: GA/TA/RAの情報を加筆)
(2013/08/03 公開)

このノートでは、(特に文系修士の)悩みの種である資金面について、自分なりの知識、自分が困ったこと、裏話をまとめてみる。

先に断っておくが、個人のブログ故全部の情報を網羅しているわけでない。これでお金が工面できなくてもわら人形を打ち付けるとか法的な手段に訴えるとかは慎んで貰いたい。

まず大学院の学費事情について(2014/05/11:加筆・修正)
我がハワイ大学マノア校では、international studentsはセメスターごと最大約$15,000($1=¥100としておよそ150万円)必要になる(画像参照)。Summer sessionをとらずとも、単純に学費だけで年間$30,000かかるわけだ。これに生活費やら雑費やら保険やらを入れれば、まぁ年間$35,000~45,000はかかるとみておいた方が良い。うちの大学でこれなのだから、某州にある熊さんが目印の有名州立大学や、私立大学など推して知るべし、というわけだ。

ハワイ大学マノア校の学費

誤解を招くといけないので、学費についてもう少し詳しく説明しよう。まず、授業料はtuitionfeeに分かれている。tuitionとは下に説明する通り、単位時間(credit hour)ごとに払うお金の事であり、これが授業料全体(tuition+fee)の大半を占める。feeとはその他の学業に関わるお金のことで、これは学部によって様々。例えば大学が電子書籍を契約するためのお金とか、美術を専門する学部なら用具の購入費用とかに充てられる。
では、実際にかかるお金がどのように計算されるか見てみよう。下の画像を見て欲しい。



これはハワイ大の"Spring 2014 Tuition & Fees"というページから引っ張ってきたものだ。上に説明したとおり、credits, fees, tuitionが記載されているのがお分かり頂けるだろう。
アメリカの大学は通常、tuitionが単位(credit)ごとに量り売りされるシステムになっている。うちの大学院のうちの学部(SLS)を例に取れば、1credit=$1,245(≒¥126,000) である("credits"欄の"1"を参照)。通常大学院の授業は1授業が3単位なので、1授業あたりtuition+feeで$4,125払う事になる("credits"欄の"3"を参照)。
さらに、普通大学院生は1セメスターに3授業(= 9credits)取るので、1セメスターあたりtuition+feeで$11,595必要になるのだ(というわけで一番最初に説明した$14,940とは12credits以上取った場合のtuitionのみの額で、これにfeeを入れれば合計は$15,330である)。
要するに、授業料は自分が取る授業数、正確に言えば単位数によって大幅に上下すると言う事だ。

学費の話とは少し離れるが、見落としがちな出費が「保険」だ。保険は義務なので絶対に入らなければならない。当然保険の内容や保険会社によって掛け金が変わるが、ハワイ大の学生保険の場合、一番高い物で年間およそ$3,000(≒¥300,000)かかる。保険料を安くしたい気持ちも分かるが、何かあった場合に最悪ケチった分のウン百倍の出費がある可能性も忘れてはならない。ハワイ大の学生保険の料金はこちら

ちなみに合格した時に大学から送られてくるI-20というフォームには一年間で必要な予算が明記されており、ビザを取得する際にはこの予算を賄える事を残高証明の提出により明らかにしなければならない。

I-20の一部。およそ$43,000必要であると明記されている。



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さて、そんな高額な学費をいかにして賄うかが今回のポイントである。
方法は大きく3つ(だと思う)。
1.日本国内で応募できる奨学金をもらう
2.自分で賄う
3.アメリカに行ってから奨学金に応募する


まず1の国内応募奨学金について。
正規留学用の奨学金は「貸与型」と「給付型」に分かれるが、JASSOを除けば返済義務の無い「給付型」がほとんどである。その分競争率も高い。
情報収集は、まず何よりもJASSOのホームページ、そしてもし自分が大学生ならば、大学の国際交流課への問い合わせや掲示板のチェックから始めるに限る。
JASSOのホームページは、『JASSO海外留学情報ページ』(http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info.html)や『海外留学のための奨学金』のページ(http://www.jasso.go.jp/study_a/scholarships.html)、そして応募できる奨学金を網羅した『海外留学奨学金パンフレット』のPDF版(無料)を見ておく(http://www.jasso.go.jp/study_a/pamphlet_j.html)。おそらく有名どころの奨学金は全てこれらのページを調べる事でカバー出来るはずだ。

なお、応募は個人応募と、所属大学を通すものと二通りある。
所属大学を通す場合、「海外留学用奨学金」をどこが管轄しているかを知っておく必要がある。僕の場合、所属学部の掲示板ばかりチェックしていたら、実は全く違う施設が管轄していて、結果奨学金の応募に間に合わなかった、という事があった。ウン百万単位のお金が動くだけに、この時は相当悔しかった。

(裏話)確か、理論上僕が応募出来る奨学金は6つあったと思うが、そのうち実際に応募出来たのは3つくらいだったはずだ。笑 応募すら出来なかった奨学金のうち、一つは上記理由により締め切りが過ぎていた。別の一つはTOEFLのスコアが間に合わず断念。一つは締め切りを過ぎて書類を提出したため却下された(笑)。提出出来た3つのうち、2つは選考で落ちた。その内一つも、締め切り当日に電車の中で書類を書いていた(笑)。
そして最後の一つ、最後に受かったのがJASSOの「貸与型」奨学金だった。そんなわけで、今もJASSOにお世話になっている。下に書くように、結果的には大学から奨学金を貰えたからよかったものの、いやーあらゆる失敗をしたな、自分。



学費を賄う方法として、2の「自分で賄う」という手段もある。
家庭が相当裕福な場合を除いて、これには働いて貯めるor銀行からの借金(いわゆる教育ローン)などがあるだろう。ただし銀行からの借金は民間銀行だと利息が高いので、財務省所管の日本政策金融公庫が行う教育ローン(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html)くらいが良いと思う。当然JASSOの奨学金(貸与型)も借りるべきだが、それだけでは全然足りない。



学費を賄う最終手段として、「アメリカに来てからなんとかする」という方法もある。
アメリカの学費に悩んでいるのは、何も外国人ばかりではない。アメリカ人だって同じ問題で悩み、学費の値上げに反対して学校を占拠したりする事件も起きるくらいだ。従ってそんなアメリカでは、学費が高い分公私問わず多くの奨学金もofferされているのである。
ただしそんな奨学金の多くは「アメリカ国籍を有する者、または永住権を持つ者」にeligibilityが限られているため、"this scholarship is open to international students"と書いてある奨学金を見つける事になる。
僕の場合は、大学院に入ってから応募した学内奨学金やフェローシップに通り、2年目の学費を賄える事になった。こうした学内の奨学金は大学にあるfinancial aid officeのホームページをチェックしたり、自分のアドバイザー、program chairなどにガンガン聞きまくったりする事で手に入れる。留学前からチェックしたり、問い合わせしてみるのも良いだろう。

ハワイ大学のFinancial Aid Servicesのwebページ

(追記:2014/05/10)
「アメリカに来てから何とかする」パターンに、とても大事な情報を書き忘れていた。GA/TA/RAである。これらはそれぞれGraduate Assistant, Teaching Assistant, Research Assistantの略で、要は大学内で学業に関連する職を全うすることでお金を頂けるシステムだ。職の内容は様々で、教授の授業サポート(TA)とか、教授の研究の為の雑用(RA)とか。うちの学部の人は大学所属の語学プログラムでGAとして英語を教える場合が多い。文系は研究の特徴上、RAが理系に比べて少ないのがネックでもある。ただ、言語学や社会言語学なんかをやっている人はインタビューを文字起こしするのにRAを使ったりする。

これらは所属学部内で働く必要は無く、例えば僕の友だちはSecond Language Studiesの所属でありながら、Athletics DepartmentやDisability Studiesに行ってGAとして学生の勉強をサポートしている。要するに、雇用者のニーズに合えば誰でも雇ってくれるというわけだ。

雇われるタイプとしては、学費が全て免除されるタイプと、時間給でバイトとして使われるcasual hiringの二種類がある。前者のタイプで雇われれば学費の心配をする必要がない分、当然競争率も高くなる。こうした情報も、学部内で雇用情報を一手に引き受けている人がいるはずなので話を聞きに行ったり、メーリングリストから流れてくる情報を逐一チェックして、情報をキャッチしたら素早く動くのが良いだろう。

また、GA/TA/RAのどれで雇われるにせよ学業と仕事を両立させる事はかなり難しく、うちの大学では3授業ずつ取って4セメスターで修士を終えるというパターンよりも、1~2セメスター修了を延ばす人が多い。その辺は時間とお金との兼ね合いなので、自分とよく相談してみて欲しい。
(追記ここまで)


その他にアメリカ国内の民間奨学金もどこかで探せるはずだが、僕にはその必要がなかったため、詳しくない(汗)。別のサイトを参照してもらいたい。



というわけで、僕の知っている情報をつらつらとまとめてみた。
お金は最大のネックで、特に文系修士が給付型の奨学金を手に入れる事はかなり困難だと思う。しかし、がむしゃらに、上記の方法を組み合わせれば意外となんとかなったりする。僕の書いたノートと、僕の無謀で無計画な留学準備が、これから留学しようとする御仁のお役に立ち、少しでも勇気と希望を与えられれば幸いだ。ちなみに国内の奨学金に落ちたとき、僕は「こいつらには見る目が無いな」と(半ば本気、半ば逆恨みで)思っていた。それくらい楽観的に構えていれば、どこかでお金がもらえたりするのではないか(無根拠)。
奨学金は「情報命」なので、とにかく早めに動き、調べまくる事が大切。そして、くれぐれも僕のように、締め切り過ぎてから書類出すとか、いつの間にか締め切り過ぎていたとかはやめてもらいたい。これから留学する皆様に幸あれ。


自信があるなら、toto BIGの購入も検討してみてはどうか。
当然おすすめはしない。

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