10/20/2013

文系大学院の授業

今更だが、アメリカの文系大学院の授業について、知りたい人向けに少し書いておく。

日本と同様、アメリカの大学院は一つのcourseが15週間の授業で構成されている。
ご存知の通りアメリカの授業レベルは100から始まる番号で区別されていて、大学院だと600~の授業を取るのが普通だ。例えば、610 "English and Identity"とか、650"Technology and Education"とか、そんな感じ。さらにウチの場合、700~はセミナーで、600レベルよりドクターの生徒が多く、よりstudent centeredな授業が行われる。授業時間も600レベルが75分または170分なのに対して、700レベルは170分一択だ。
授業は一週間に1〜2回で、これは教授によってまちまち。要は75分×2回か、170分×1回か、ということ。

こうした授業を1セメスターに3つずつ取って4セメスターで修了というのが普通だが、4~5授業くらいずつとって2~3セメスターで修了するバケモノも結構いる。4~5授業くらいずつとった上に4セメスター以上勉強し続けるという人外の生物もいる。

日々の課題は、次回の授業までに1~3本の論文またはbook chapterを読むというのが主。論文の長さは10ページくらいの軽いヤツから、60ページくらいあるものまで様々。よって一週間に読む量は平均200ページ位。授業中はこの論文たちをもとに、講義+クラスディスカッションが行われる。


シラバスにはこんな感じでリーディングリストがくっついている


そのほかに生徒主導の課題が2~3回/semesterくらい与えられて、これは教授やcourse typeによって、リーディング課題を要約するプレゼン、自分の研究を発表するプレゼン、ディスカッションリーダー、軽めのペーパーなど様々。ネイティブが多いクラスでディスカッションリーダーをやる時は涙目。笑
あとは学期の最後にfinal projectが控えている、と。

当然プレゼン、ペーパー、ディスカッションリーダー、final projectなどは学部生みたく「一夜漬けでやりました!テヘペロ!」というテンションでは取り組めないので、その2週間~数ヶ月ほど前からさらに多くの論文を探し、読み、構想を練らなければならない。軽いノリで取り組むと、教授と複数の生徒から、良くてやんわり穴をつつかれ、悪いとかなり辛辣かつストレートに糾弾される、らしい(断っておくが僕が経験したわけではなく、聞いた話だ(笑))。
そしてこうしたプレゼンやペーパーなどは普通学期の中間と終盤にかぶることが多いため、この時期は数日朝まで勉強し、コーヒーとレッドブルに大変お世話になるわけだ。

あ、ちなみに。
全ての生徒が全ての論文を読むわけではないのは日本と同じで、全部読んだフリして授業に現れる人間も多数いる。しかし、読んだフリの仕方(笑)が分からないうちは絶対全部読んだ方が良い。ディスカッションで困った事になる。

さて、final gradeはA+からF(落第)までの評価で示されるが、普通に勉強していればFをもらう事はまずあり得ない。ていうかA-(マイナス)以上をもらうのが普通だ。昨日ネイティブの友人とも話していたが、「大学院ではB=Fと考えた方が良い」位だと思う。


最後に少しお金の話。
日本ではあまり意識しないだろうが、こっちでは(少なくとも僕は)「単位(credit)」というものをかなり考える。というのは、授業料はcreditごとの量り売り(笑)だからだ。ウチの大学で大体1credit=12万円くらい。普通大学院の授業は3creditsなので、一授業に36万円払ってる事になる。資本主義の象徴なわけだが、ハッキリ言ってこれはものすごいモチベーションになる。お金がない中で、絞りに絞った3授業を108万円払って受けるわけだから当然である。授業の質が悪ければ教授に直接feed backしまくるし、教授もすぐにそれを受け入れて授業スタイルを変更する。

資本主義のシステムの中で資本主義を勉強し、さらにそのシステムを巧みに利用して自分に最も利益があるように行動するとは皮肉なものだが、今はそれを考えない事にする。



0 件のコメント:

コメントを投稿